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台北物語 若手芸術家の作品を一挙に観られる、アートフェアが大人気

写真・文:謝ひかり

草木が慈雨をあびて背をいっせいにのばす4月の末、今年で7回目になる『YoungArtTaipei 2015』(以下YAT)に行ってきた。対象を45歳以下の若手アーティストに絞り、年にいちど開催されるホテル形式のアートフェアだ。
会場になるのは、台北市内で最高級クラスのホテル。今年はオーナーも美術コレクターとして有名な『シェラトン・グランデ』の2フロアが貸し切られ、アジアを中心に90を越えるギャラリーが参加した。

地理・歴史に加え文化・生活習慣的にもちょうど日本/中国/アメリカのあいだに位置し、「台湾の文化ってなんだ?」というアイデンティティに揺れてきた台湾。最近はますます中国に接近している危機感もあってか、若い台湾人アーティストの眼は〝ローカル〟に向けられている。

CHIU Kuo-Chun 邱國峻は、いま台湾アート界でもっとも勢いのある作家だ。道教の神様など伝統的なモチーフをコミカルに捉えたプリントに、お寺の柱に見られる模様の刺繍を施した作品で、その年のYAT最注目の5名に贈られる『新潮賞』も受賞した。

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CHIU Kuo-Chun 邱國峻の台湾オペラをモチーフにした作品。

個人的に好きなのはLi-Li Lin 林莉酈。レトロな〝食堂〟〝美容院〟などの台湾らしい懐かしさを、日本画の技法でふうわりと描きとどめる。

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台湾人アーティスト、Li-Li Lin 林莉酈のランドリーを描いた作品。

それにしても、ものすごい数の人・人・人。すし詰めで入れない部屋もある。日本のアートフェアに行くと美術関係者とかコレクターが多くて何となくスノッブ感が漂うが、YATではフツーの中年夫妻がギャラリストと「ちょっと居間に絵でも飾りたくてねえ。」とか話している。

日本からも30近いギャラリーが来ていて、多くの日本人作家の作品が展示されていた。基本的に日本のギャラリーが持ってくる作家は〝美少女系〟〝かわいい系〟〝スーパーリアリズム系〟が多いのだけれど、台湾のギャラリー『伊日藝術~YIRI ART』の部屋で観た5名の日本人作家の作品はちょっと違って、もっとも目を惹かれた。

輪郭線のないジャングルの風景みたいなのを描いた蓮輪友子に、植物と人が合体した立体がキモ可愛い平子雄一。アートフェアの後より台中会場で個展が始まった渡邉天馬のマッチョな外人男性×花柄の油絵もパワフルで印象的。

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台湾の人が大好きな、小動物など〝かわいい〟モチーフが多くみられた。

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在廊していた日本人作家・渡邉天馬と作品。

2フロア、約90部屋をほぼ見おわった頃には、ぐったりしてお腹もすいているのに気づいた。休憩したいけれどホテルのカフェは満席。そんな時は、玄関でタクシー(初乗り300円弱)に乗りワンメーターで『福州乾麺』のお店へ。ラードで和えた麺にじぶんでウスターソースを加えながら味付けするだけのシンプルなものだけれど、旨い。

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総統府あたりに行くなら是非足をのばしたい福州乾麺の名店『中原福州乾麺』。
麺とスープで100元(400円)ほど。

ポルシェやベンツで乗り付けてアートフェアでごっそり作品を大人買いするような資産家だって、こういう台湾ローカルなお店が大好きだったりする。ラグジュアリーと地元密着をいったりきたり、フラットに楽しめるのも台北の魅力かもしれない。

掲載号:SHUTTER magazine Vol.17
(2015年9月30日発売)

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