Snow2012shutter

【連載コラム】写真家 大和田良 そこで見えた風景は、僕があの場で見た風景にとても似ていた。

Snow2012shutter
Photography & Essey「うすあかりと、写真」第5回

Nikon D7000/SIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM/絞り優先オート(F8/1/500)/ISO 100/WB:オート

 ひとつの風景の前に立ったとき、ぐるりとその眺めを見回す。
 そこにはなにかの足跡が見え、水には薄い氷が張り、雪と土とがコントラストを作っている。遠くには氷の流入を防ぐための赤い浮きが連なっている。強い風が水面に細かな波を作り、太陽の光を反射してきらきらと光っていた。
 レンズでその風景を捉えようとした時、そこにはファインダーの中にそのどれかが、あるいはどれかとどれかが、その四角い枠に収まっている。それが広いの風景の縮図となるよう構図を考えてみる。そうして切り取った一枚の写真は、背面液晶に表示され、PCの画面で開かれ、一枚のプリントとして手に持つことができるようになる。
 自分の視野で眺めた風景を捉えようとしたとき、レンズを通してそれを眺めてみると、当然のようにそこにはレンズの画角の範囲が見える。広角でも標準でも、望遠でも、そこには四角いフレームの中に映像が映る。パノラマならどうだろう。横方向にでも縦方向にでも、カシャカシャ撮っておいて後で合成してみればどこまでも広い風景を再現することができる。
 合成されたパノラマ画像をプリントアウトして眺めてみる。それは自分の求めた再現であろうかと考えてみると、どうも違うようだった。よっぽどワンショットで捉えた一枚のほうが密度があり、その場で感じた眺めを再現していた。
 僕は写真をいくつかPC画面に表示させ、自分が捉えた写真を並べてみた。それから、特に再現したい部分を抜き出しながら、画面にレイアウトしていく。すると繋がりの無い一枚の画面が出来上がった。要はコラージュということになるだろうか。
 そこで見えた風景は、僕があの場で見た風景にとても似ていた。そう考えると、僕は実際の風景をぐるりと見回しながら、ある細部を見て、ある細部は見ていないのだということに気づく。例えば、ある場所の水際の輪郭は見ていても、ある場所のそれは見ていない。
 自分の見ようとした細部を意識しながら、もう一度ワンショットごとの写真を見ていくと、「これはなかなか写っているな」とか「これは全然写っていないな」と思うことができた。
 そんな風にして写真のことを考えている時間が、僕にはずいぶん多い。

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写真・文=大和田 良
東京工芸大学大学院メディアアート専攻修了。05年スイスエリゼ美術館による「reGeneration 50 photographers of tomorrow」に選出され以降国内外で作品を多数発表。
http://www.ryoohwada.com/

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