アーティスト写真&ジャケット写真の歴史【60年代編】

「これだけは知っておきたい!」という、時代を熱狂させた作品の数々を、欧米と日本の流れを比較しながら、各年代ごとに解説していきます。
解説=山田敦士(写真家・SHUTTER編集長)

60年代〜海外のアーティスト写真・ジャケット写真

60年代のPOPシーンを語る上で欠かせないのがデヴィッド・ベイリー。労働者階級出身の写真家で、ローリング・ストーンズやビートルズと親好があり、女優のカトリーヌ・ドヌーブと結婚するなど当時を代表するスターだった。ブラック・ミュージックの世界で知っておきたいのがウィリアム・クラクストン。日本人が〝ジャズっぽい〟とイメージする写真はほとんど彼の作品。「音楽」が既成の概念に対するカウンター・カルチャーだった、華やかな時代のはじまり。

1961年

「Jazz Life: A Journal for Jazz Across America in 1960」
ウィリアム・クラクストン 撮影
出版社:Taschen America
撮影は’59年だが、ケルアックの「路上」のあとの60年代を考える上で貴重な作品。

1967年
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「Birth of the Cool」
デヴィッド・ベイリー 撮影
出版社:Viking Penguin
華やかな60〜70年代のロンドンのすべてをとらえた写真集。マイルス・デイビスに同名のアルバムが存在することをご存知の方もいるはず。

1969年

「Abbey Road」(Dig)
イアン ・マクミラン 撮影
レーベル:EMIミュージックジャパン
ザ・ビートルズの史上もっとも有名なジャケ写。この横断歩道は歴史的遺産指定を受けています。ロンドン訪問時に立ち寄ったが、交通量が思いのほか多く、同じ構図で撮影するのはなかなか危険。

60年代〜日本のアーティスト写真・ジャケット写真

まだまだ報道写真が主流だった時代、音楽や雑誌などの仕事はいまほど日本では多くなかった。特に表現者を撮影した写真集が残っているのは珍しい。そんな中、忘れてはいけないのが巨匠、細江英公が三島由紀夫を撮影した薔薇刑。著名人を写した作品ではないが、杵島隆のもとを独立した若き日の加納典明が当時のNYを撮影したFUCKが歴史の中に埋もれてしまっているのは残念。当時の写真家たちの強烈なエネルギーが、70年代に芸術と大衆文化のぶつかりあいとなって、花開くことになる。

1961年

「薔薇刑―細江英公写真集」
細江英公 撮影
出版社:集英社(1963年)
三島由起夫を撮影した写真史に残る傑作。のちに横尾忠則が装丁を手がけたことでも有名。

1967年
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「モナリザの微笑」
ザ・タイガース
レーベル:日本グラモフォン(ポリドール)
当時の日本はモロにロンドン60sの影響を受けてます。ちなみに作曲はすぎやまこういちが手がけている。

1969年

「FUCK」
加納典明 撮影
出版社:Akio Nagasawa Publishing(2012年)
当時のNYを活写。写真集が出版されるまで約40年の月日を要した問題作。写真家・加納典明は発表後、時代の寵児となり、多くのアーティスト撮影を行った。

写真は、いつの時代もカウンター・カルチャーであるべき

心に残る写真を撮るためにはまず、先人たちの積み重ねてきた圧倒的な歴史を知ることも大切。
つねに新しい何かを提示できるか。挑戦者としての気持ちを胸に、ファインダーをのぞいてほしいものです。

次回は、70年代のアー写・ジャケ写について解説します。

掲載号:SHUTTER magazine Vol.4
(2012年12月30日発売)

【関連情報】
山田敦士 オフィシャルサイト http://www.atsushiyamada.com/

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