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RICOH GXRで、渋谷の街をスナップ撮影する【写真家・横木安良夫】

RICOH GXRで、渋谷の街をスナップ撮影する【写真家・横木安良夫】

ふとした目の前の瞬間をさりげなく切り取る。そんな撮影手法を”スナップ”といいます。スナップフォトの名手、横木安良夫さんは普段、どんな風に撮影しているのか?なかなか聞けないキホンを、教わってきました。


SNAP SHOT with RICOH GXR
絞り優先モード(F4/1/620)  28mm(5.9mm)  ISO 200 ホワイトバランス:オート
解説=横木安良夫

(TOP写真)今回の作品のポイント
渋谷の打ち合わせ場所に向かう途中、消防車のサイレンがなった。
僕は高速をまたぐ陸橋の上にいた。首都高速に5台の消防車が渋滞に巻き込まれ、立ち往生している。消防士がひとり、道をあけさせるため、全力で走ってきた。
僕はすかさず28mmレンズのついたGXRを、歩道のガラス越しに撮影した。とっさのできごとに、素直に反応するように撮るのが僕のやり方。撮ったあと、それがなんであったのか、考える。誰かに伝えるというより、自分自身の撮影したいと思う衝動が重要。

芸術は衝動、見る前にシャッターを切る

街でふらりと撮影するときは、明るい短焦点レンズを使い、絞り優先モードにしてISO感度を決める。絞りはできるだけF値開放付近で撮ることが多い。開放付近が一番、そのレンズの特徴が引き出されるからだ。東京の街は背景が複雑なので、レンズのボケを生かして撮る。絞りを開けることで、シャッタースピードが速くなり、ブレなくなるのでカメラをかなり乱暴に扱っても撮影できる。
僕は、撮影する時には、撮りたい対象を凝視するよりその場の「光」を見ている。逆光やスポット光、やわらかい陽だまりの色や、車や人の動きを感じながら撮る。
スナップは広角レンズで周囲の状況を入れながら撮るのが好きだ。GXRでは標準レンズ(50ミリ)もお気に入りだ。そのレンズを使ったトップの写真のように歩きながらすれ違いざまに人物撮影するときは、カメラを連射モードにして、ピントをマニュアルに固定する『置きピン』というテクニックで撮る。この場合、ポイントで撮るというよりシャッターボタンを2~3秒、押しっぱなしにして、時間を線で捕らえるイメージだ。
絞り優先派の僕は絞りによるレンズの描写をいつも大切にしている。開放で背景をボカすか、レンズ性能が一番良くなるといわれている2段ほど絞った状態にするか、さらに絞ってパンフォーカスにするのか、状況を3つに分けて考え、撮影時のフィーリングで描写を決めている。
これはダメ、というルールはスナップにはない。きちんと撮るのではなく、ラフさがスナップの魅力だ。
技術や構図を気にするより、偶然性を呼び込むような撮影をすると面白いものに出会える。デジタルの強みはたくさん撮れることだ。あえてアングルをずらしたり、ノーファインダーで撮ったりといろんな実験ができる。

街という最高の舞台で、スナップフォトの撮り方を解説

Lesson 1:スナップの基本は絞り優先で撮る

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スナップに限らず、僕はたいてい絞り優先(A モード)で撮っている。レンズの絞りをコントロールすることで、描写に大きな違いがでるからだ。明るいレンズと組み合わせれば夜でもストロボなしで撮ることができる。

Lesson 2:ISO感度は固定、基本は液晶画面を見ながら撮影

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ISOがオートだと光の条件によって極端に感度が変わることがあるので固定したほうがいい。ムービーで、光が変わる場面では使うことがあるが。背面の液晶画面を見ながら撮影するメリットは周囲を見回せることだ。

Lesson 3 街を歩きながら、どんどん撮影する

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少しでも心が動いたらシャッターを切る。じっくりファインダーをのぞいて考えていたら、被写体は逃げてしまう。偶然の出会いを求めて歩く。とっさの出来事に対応するため、その日の撮影を予見して、カスタムファンクション(マイセッティング)に設定を登録しておき、撮影時に切り替える。

Lesson 4:ノーファインダーで撮ることも

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ファインダーをのぞかずに撮ることをノーファインダー撮影という。片手に持ったまま低いアングルで撮ることで、危うい絵も撮れる。ピーピング(のぞき写真)と間違えられないように気をつける。

Lesson 5:光の条件を確認しながら撮影する

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スナップショットは失敗を恐れることはない。さまざまな思いつきを実験する。デジタル時代はすぐに確認できるのだから、カッコつけないで撮影したら確認して反省する。失敗にはアイデアがたくさん詰まっている。ダメならまた撮ればいい。ラフに撮れるからこそスナップは面白い。

Lesson 6:ファインダーをのぞき、表情を追う

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ファインダーを見ながら撮影するときは、ブレないようにしたいときや、人物の表情を続けて追いたいとき。
薄暗い場所ではブレやすいので絞りを開放にしてカメラをしっかりとホールドする。

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リコー GXR
実勢価格 30,000円前後
GR LENS A12 28mm F2.5(センサーつきレンズ)
実勢価格 65,000円前後
静かなシャッター音と手になじむホールド感がスナップには最適のGXR。レンズフードLH-1、液晶ビューファインダーのVF-2をつけて撮影。広角レンズA12 28mm F2.5 単焦点で街を切り取るのが横木流。

「街」を撮り続ける理由

なぜ、僕は街を撮り続けるのか。凡庸な風景写真は、その美しさが多くの人に認められたものだからだ。いまの時代そんなものをわざわざ写真に撮る必要はない。価値が決まっているのなら、自分の目で見て網膜に焼き付ければ十分。なんでも簡単に記録できる時代、かつてほど記録することに重要性はない。今写真がするべきことは、新しい価値、ものの見方の発見だろう。カメラを持って街には出かけ、自分のアンテナに触れたその瞬間、かけがえのないその場所で、シャッターを切る行為、その衝動こそが、本質だと思っている。
芸術とは理屈ではなく衝動だからだ。

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横木安良夫(写真家)
千葉県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。アシスタントを経て、1975年に独立。広告、雑誌、NUDE、ドキュメンタリーとさまざまなジャンルの仕事。主な著書に写文集「サイゴンの昼下がり」小説「熱を食む、裸の果実」ノンフィクション「ロバート・キャパ最期の日」写真集「あの日の彼、あの日の彼女1967-1975」「横木安良夫流スナップショット」
昨年からZINE「GLANCE OF LENS」を発行。現在テレビ朝日にて月~金、夜「世界の街道をゆく」のスチールとムービーを担当している。
http://www.alao.co.jp/home.html

掲載号:SHUTTER magazine Vol.1

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