2020.5.22 サイトリニューアル!新着記事更新中

【SQUARE UP!】写真家・古性のち チェキで広がる私の世界

【SQUARE UP!】写真家・古性のち チェキで広がる私の世界

instax“チェキ”のスクエアフォーマットギャラリーサイト「SQUARE UP!」では、チェキスクエアの作品を掲載。本ギャラリーでは、自らの世界を切り開くアーティストたちが撮影する写真を通して、表現することの面白さを世の中に伝えていきます。

SQ1で切り取る世界

写真家として活躍される古性のちさんに、インスタントカメラinstax“チェキ”の新製品「instax SQUARE SQ1」(以下、SQ1)で撮影していただき、写真やご自身についてお話いただきました。

▼さまざまな著名人が撮影したチェキスクエアギャラリー「SQUARE UP!」もチェック!
https://www.shutter-mag.com/squareup/

Q:こんにちは!SQ1で撮っていただいた作品や、ご自身についてお話をお伺いできたらと思います。
古性のちさん(以下、古性):よろしくお願いします。

Q:青い空が綺麗ですね。
古性:自分の好きな場所を巡って、大好きな青を集めることをコンセプトに置きました。岡山県の瀬戸内や私が暮らす街のほか、実家のある横浜やオフィスを構える原宿、毎年通っている高知県の四万十など、大好きな5つの場所の空を撮りました。

Q:作品を一つ一つ見ていくと、空にはいろんな表情があることに気付かされます。
古性:朝4時から夕方6時まで、それぞれ違う時間帯で撮りました。この青はチェキだからこそ出る色ですよね。普段当たり前のように見ている空ですが、チェキならではの味わいが写真に載って、新しい一面が表れているような気がします。

▼古性のちさんのそのほかの作品は、こちらから!
https://www.shutter-mag.com/squareup/gallery_koshonoci.html

Q:なぜ空を撮影されたのでしょうか?
古性:被写体は何でも良かったんです。でも、作品を見てもらうなら好きな場所で撮って、見ている人に押し付けない写真にしたいと思いました。コロナ禍で息苦しい世の中になってしまったけどいつでも繋がっているという思いは載せつつも、メッセージ性の強い被写体はあえて置かず、説明的にならないように意識しています。「綺麗な青だな」とか「チェキってこんな色が出るんだ」とか、「どうしてこの人は空を撮ったんだろう」などどんな感想でもいいので、見てくれる人に受け取り方を委ねる形を取りました。

Q:瀬戸内でも撮影されたのですね。
古性:実は、ちょうど岡山県の瀬戸内でお家を探しているところなんです。コロナ禍の前はバンコクと日本の二拠点で生活していたんですけど、バンコクに戻れなくなってしまったので、日本で一番好きな場所で暮らそうと思い立ちました。

自分が求める場所を探していく

Q:好きな場所を探そうと思ったきっかけは、何でしょうか?
古性:タイに住む以前は世界一周をしていました。住みたい場所を探したいというのも、世界を旅した理由の一つです。絶景を見に行ったり、観光地に足を運んだりということはせず、宿泊場所の半径1km以内を1カ月かけて周りました。細い小道を抜けてみたり、近くの喫茶店に通って常連になってみたり。その土地に流れる時間や人々の日常が発する息吹きを感じて、見知らぬ場所を転々と暮らしました。その中で自分の肌に合っていたのがタイでした。ところがコロナの影響でタイに住めなくなり、さぁどうしようとなったとき、今まで巡った中で好きな場所をリストアップし、自分が好む場所の条件は何かを見つけようと思いついたんです。スプレットシートで並べて、地形や歴史を含め、気に入った10カ所を分析していきました。すごくアナログなやり方なんですけどね(笑)。自分ってこういう場所が好きなんだというのを数字で出して、条件に当てはまりそうな場所を国内で探しました。

Q:分析した結果、岡山県がご自身に合っていたのですね。
古性:私の場合、風通りが良くアップダウンのない平たい街が好きなので、他の条件とも鑑みたところ、瀬戸内と相性が良さそうでした。旅行というスタイルで行ってみたり、暮らしに重点を置いて訪れたり、はたまた、静かな町の商店街や小さな島に行ってみたり。形を変えて幾度も足を運び、いろんな暮らし方を試したところ、この場所が自分の身体に馴染むというのがなんとなく分かってきました。

Q:旅をするようになったのは、なぜでしょうか?
古性:日本に生まれて日本人として暮らしているんですけど、どれも自ら選択したことじゃない。たまたま日本で、たまたま日本人として生まれただけ。世界一周をした26歳のとき、周囲は結婚をしたり家を建てたり、人生を大きく決めるタイミングを迎えていました。でも当時の私は日本しか知らないし、日本人であることも選んだわけでなく、置かれたこの場所にただ存在しているだけ。こんな状態ではこれから先のことを何一つ決めることができないと感じました。決めるためには、自分の意志で日本を選ばないといけない。一度日本を出て、外の世界を見た上で日本を選ぶのか、あるいは全く別の国なのか。何でもいいから納得が欲しかったんです。

Q:納得を得るために、一度、住み慣れた場所を離れたのですね。
古性:自分の中でどこか腑に落ちない状況で物事が進んでいくことが、心地良くないんです。たぶん日本でここに住もうと決めて結婚したとしても、日本人であるという、自らの意志で選んでいないことがずっと付きまとっていくのが納得できなくて。だったら一度外へ出て、外の世界を見た上で日本を選んで帰ってくる、ということをしたかった。今は歳を重ねてだいぶ丸くなりましたけど、10代や20代の頃は本当に頑固だったので頑なにそう感じていました。

Q:頑固なんですか…!
古性:はい、頑固な性格です(笑)。今回のチェキの企画も、写真を見た人がどんな気持ちになってくれたらいいんだろうか、とあれこれ考えました。もっと軽やかに自由な気持ちで撮れる人もいると思うんですけど、今回は撮ることよりも撮るまでのコンセプト設計に時間をかけて、自分を納得させてから撮りました。そういった面でも頑固なんですよね(笑)。

五感が生きた状態を保つ

Q:旅の間、大事にされていることはありますか?
古性:私は「五感が死ぬ」という言葉をよく使うんですけど、ずっと同じ場所で暮らしていると、新鮮に感じられるものが少なくなってくると思います。たとえば、オムライスを食べるとき、味や風味など、口に入れる前に大体80%くらいは想像してしまっているんですよね。実際に味覚で感じているのは20%ほど。つまり、味覚が80%サボっている状態なんです。それを続けていくと、本当に味覚が死んでいってしまう。その点、旅のいいところは、現地で名前も味も分からない料理が出てくるので、全神経が舌に集中する。味覚100%でご飯を食べているんです。町中を歩いているときも常に緊張している状態なので、あちこちに神経を張り巡らせている。そういったものが、同じ場所に身を置き続けると次第になくなり、気付かぬうちに五感が死んでいってしまう。五感が生きている状態を保つことは、旅中の私の大きな課題。その町に慣れて無意識に電車に乗るようになったら、次の新しい場所を目指して移動を繰り返しました。

Q:コロナの影響で、旅をすることが難しくなってしまいましたね。
古性:これまでは、生きた五感にするために知らない場所へ行くという方法しか知らなかったので、旅の代替案として新しいことを始めています。最近でいうと、太極拳を習い始めました。3年前、ヨガと瞑想の聖地と言われるガンジス川上流にある、リシュケシュという静かな谷の町に滞在したときに、現地の先生に瞑想を教えてもらい、タオイズムに興味を持ちました。日本で気功やTAO(道)に精通しているのは合気道や太極拳なのですが、公園でおじいちゃんおばあちゃんがやっているイメージがあって、実はなかなか一歩を踏み出せなかったんです(笑)。太極拳を学んでもう一度リシュケシュへ行き、また先生に会えたら、とインドに思いを馳せています。

Q:古性さんの選ぶ言葉は素敵ですね。お話を伺う中で、心を打たれる言葉にたくさん出会いました。
古性:ありがとうございます。写真にも通ずるんですけど、相手の想像力を奪うことはしたくないので、直接的な表現は避けています。ある人にとってはお花なのかもしれないし、雲なのかもしれない。でも私が雲と言ってしまうと、お花だと思っていた人の道がなくなってしまう。それこそ五感を殺してしまっているようなものなんです。なので、なるべく人の五感を殺さないように、想像力を奪わないように心がけています。

Q:古性さんが感じる、スクエアの魅力とは何でしょうか?
古性:真四角って、集まるとすごくかわいい形ですよね。並べるとタイルみたい。「スクエア」と「3」という数字って、どうしてだろう、なんだかちょうどいい気がします。3枚並べて壁に飾ったり、誰かにあげるときも3枚一緒にしてプレゼントしたり。単体であるよりも、スクエアの特長がより引き立つように感じます。私は3枚を壁に貼るのが好きなので、黄色のセット、赤のセット、青のセット…と色別に写真を撮って、部屋の模様替えをするときに雰囲気に合わせて変えています。

Q:インテリアにもなって素敵ですね。私もスクエアで撮ってみたくなりました。
古性:撮るだけでなく、並べたり飾ったりなど、遊び方を見つけるとさらに楽しくなりますよ。あと、これはスクエアに限ったことではないんですけど、チェキってコミュニケーション能力が抜群なんです。撮った写真をその場で見せたり、あるいはプレゼントしたり。たとえ、旅先で出会った人と共通の言語を持っていなくても、チェキが双方を繋ぐツールになる。何を撮るかではなくて、撮って、写真を見せるという行為に大きな意味があるのかもしれないですね。

写真=山田敦士
取材=百佐保里

プロフィール

古性のち
1989年横浜生まれ。世界中を旅しながら「写真と言葉」を組み合わせた作品を作る写真創作家。
BRIGHTLOGG,INC取締役。飾らない日々をドラマチックに表現することが得意。
カメラはFUJIFILMのX-T3・Nikon Z 6IIを使っています。SNSが大好き。現在すべての総フォロワーは16万人ほど。
@nocci_trip
https://www.instagram.com/nocci_trip/
@nocci_84
https://twitter.com/nocci_84

写真カテゴリの最新記事