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【SQUARE UP!】写真家・野本敬大 インタビュー 僕たちの関係値でしか表現できないもの

【SQUARE UP!】写真家・野本敬大 インタビュー 僕たちの関係値でしか表現できないもの


instax“チェキ”のスクエアフォーマットギャラリーサイト「SQUARE UP!」では、チェキスクエアの作品を掲載。本ギャラリーでは、自らの世界を切り開くアーティストたちが撮影する写真を通して、表現することの面白さを世の中に伝えていきます。

SQ1で切り取る世界

今回は、写真家・映像作家・アートディレクターとして幅広く活動する、野本敬大さんがゲスト。
「表現によって人の思考・感性はいかに自由になれるのか」という独自のテーマに沿って生み出された作品の数々は、多くの人の胸に響き、余韻を残しています。
インスタントカメラinstax“チェキ”の新製品「instax SQUARE SQ1」(以下、SQ1)で撮影していただき、作品や写真にまつわるお話、表現することについて伺いました。

▼さまざまな著名人が撮影したチェキスクエアギャラリー「SQUARE UP!」もチェック!
https://www.shutter-mag.com/squareup/

Q:はじめまして! 今日はチェキのお話から野本さんの写真に対する考えなど、いろいろ聞かせていただけたらと思います。
野本敬大さん(以下、野本):よろしくお願いします。

Q:今回、SQ1で撮っていただきましたが、撮影はどのように行われたのでしょうか?
野本:作品を撮るために用意した環境もなければ構成もなく、ただ、相手と過ごした時間や僕たちの間にある関係性を、目に映ったままに残してみました。

Q:たくさん撮影したうちから9枚をセレクトしていただきましたが、選んだ基準は何かありますか?
野本:相手との間にある空気の盛り上がりのようなものを、横軸を時間に、縦軸を感情の起伏に当てはめると、きっと線が大きく波打っていると思うんです。その盛り上がりが大きいところを9つ拾ってきたイメージです。

Q:スクエアフォーマットだからこそ、表現できることは何だと思いますか?
野本:人間って横長の絵や写真を目にしたとき、自然と左上から右下へと視線を移動させやすいそうなんです。でもスクエアの場合、横に流れることなくまっすぐ見つめることになるので、写真に奥行きを感じることができます。他のフォーマットにはない、真四角ならではの良さですよね。

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https://www.shutter-mag.com/squareup/gallery_nomoto.html

僕と相手との関係値でしか生み出せないものを

Q:写真を始めたきっかけは何ですか?気になります…!
野本:高校生のときに見た、友人が撮影した誰もいない教室の一枚がきっかけです。そのとき、なぜかわからないけどすごくいい、と感じたんです。惹かれる理由がわからないなら自分でもやってみようと思って、初めて親に借金をしてカメラを買いました(笑)。

Q:いいと感じた理由を知るためにも、写真を始められたんですね。
野本:はい、原動力のひとつになっています。友人の写真を一目見たときにすごく惹かれたんですけど、何がどういいのか、当時は言語化することできなかったんです。なぜ惹かれたのか、その理由を知りたくて写真を撮っている節はありますね。

Q:写真を続けていくうちに、ご自身スタイルや見い出したものはありますか?
野本:僕にしか絶対に起こり得ない事象や、その時のそのタイミングの自分にしか残せないもの、科学性のないものなど、再現することが難しいものに価値を感じるようになりました。例えば、誰かと撮影するときや、被写体と対峙するときも、僕とその相手との関係値でないと起こり得ないことを生み出せるように注力しています。いつシャッターを切るのか、どんな機材を使うのかを気にかけるよりも、僕とその人の掛け算だから作り出せる環境づくりを一番大切にしています。

Q:そのときのお二人の関係値でしか生み出せないものを、写真で再現するんですね。
野本:はい、ちょっと抽象的な話になっちゃいますけど(笑)。でも結局、大事にしていることって全部抽象的な話になる気がしますね。たしかにカメラやレンズも大切かもしれませんが、機材に詳しくない人が僕の写真を見て、その人の感性はどう動くのか、また、どんな印象を受けるのか、ということに関心があります。

Q:野本さんはきっと人がお好きなんですね!
野本:誰に対しても、この人の頭の中ってどうなっているんだろうってすごく興味が湧くんです。僕にとっての写真は、相手を知るためのコミュニケーションツール、という側面があるのかもしれないです。

Q:写真を撮るときに意識されていることはありますか?
野本:写真を見返すと、このときこんなやりとりをして、お互いの間には多分こんな感情があったなというのが流れ込んできます。撮った場所や事実は変わらないんですけど、撮影中の二人の間にあった感情は、いま思うとこういうものだったから楽しかったんだとか、のちの自分の状態によって受け取り方が少し違ってくるんです。そういうものを積み重ねるのは楽しいし、意味があるもののように感じます。撮って終わりとか、綺麗な写真を撮ったけどこの人誰だっけ?となってしまうのは悲しいじゃないですか。積み上げるなら、自分と相手の関わりによって変化のあるものを、そしてお互いの関係を丸ごと残していきたいです。

Q:思っていることや考えを言葉にするのがお上手ですね、言葉のセンスを感じます…!普段、本など読まれるんですか?
野本:小説や本はあまり読まないんですけど、考えたり思っていることを言語化したりするのはすごく好きです。自分が感じていることをそのまま相手に移植して伝えられたらいいのに…って思いません?(笑)言葉にしたらうまく伝えられないのがすごくもどかしくて。

Q:表現して、誰かに伝えることを大切にされているんですね。
野本:写真を始めたのも、同級生が撮った写真に対して「どこが良かったか」を言語化できなかったことが原動力になっています。逆に言えば、自分がいいと思っているものをすべて言葉で伝えられてしまうなら、僕には写真を撮る必要がなくなってしまうのかもしれない。言葉だけで伝えることができないから、感性的な部分をそのままビジュアルにして、表現しているんでしょうね。

表現によって、人はどれほど自由になれるのだろう

Q:「表現によって人の思考・感性はいかに自由になれるのか」をテーマに撮影されているとのことですが、詳しく教えていただけますか?
野本:これはこういうものである、こうあるはずだとか、何かを当たり前だと決めつけたとき、その事柄に対する受け取り方や感性が束縛されてすごく不自由になる気がするんです。五感にうったえる表現の手段を使って、決めつけや当たり前と感じているものをどれほど大きく揺さぶり、そして、何度壊すことができるんだろう、と考えながらいつも撮影しています。

Q:哲学のようでもあり素敵な考え方ですね!私生活では、何か変わったことはありましたか?
野本:最近でいうと、食に関わるものに興味があって、和食器を集めるのが好きですね。作家さんの作品を調べて買うこともあるんですけど、陶器市へ行って一期一会の出会いで買うのも特別な感じがして楽しいんです。

Q:お料理はよくされるのでしょうか?
野本:昨年からすごく作るようになりました。カレー職人の友人がいるので、先日、スパイスカレーを教えてもらいました。このごろは鍋料理にはまっています。伊賀焼の土楽鍋を買ったので、毎日、鍋にしています(笑)。

Q:今後の目標や意気込みを教えてください。
野本:表現を使って、人がどれだけ当たり前から自由になれるのか、考えながらものづくりをしたいと思っています。当たり前ばかりを身の回りに置くと、好きなものやいいものを見つける機会を失ってしまいます。当たり前から外れたところに、まだ出会ったことのない心惹かれるものがあるはず。僕が写真を始めたときに感じた、うまく言語化できないけどなんかいいという感覚を、他の誰かにも与えることができたら嬉しいです。

写真=山田敦士
取材=百佐保里

プロフィール

野本敬大(のもと・けいた)
1995年生まれ。写真家。
「表現によって人の思考・感性はいかに自由になれるのか」というテーマに沿ってこれまで多くの作品を発表している。刹那的な感情を捉えビジュアルに落とし込む作風は多くの支持を集めている。
https://keitanomoto.com/

野本敬大さんが撮影したチェキは、こちらから!

さまざまな著名人が撮影したチェキスクエアギャラリー「SQUARE UP!」
https://www.shutter-mag.com/squareup/

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