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現代アーティスト夫妻、愛と闘いの記録、映画「キューティ&ボクサー」

  • 2021.01.14
  • 2021.01.02
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現代アーティスト夫妻、愛と闘いの記録、映画「キューティ&ボクサー」

ふたりの現代アーティストが織りなす愛と闘いの映画「キューティー&ボクサー」は、ニューヨーク在住40年の現代芸術家、篠原有司男とその妻であるアーティスト、乃り子に密着したドキュメンタリーです。国際的な映画祭から招待を受けた、本作の魅力を解説します。

波乱に満ちた40年のニューヨーク生活

ニューヨーク在住40年、「ボクシング・ペインティング」で知られる御歳81歳(公開当時)の現代芸術家、篠原有司男。通称「ギュウちゃん」とも呼ばれ、親しまれるそのキャラクターと反骨に満ちた芸術活動は、日本の現代アート史を語る上で欠かせません。
日本で初めてモヒカン刈りにした彼は、岡本太郎に「ひたむきなベラボウさ」と評されるほど創作に人生を捧げてきました。
ギュウちゃんとNYで出逢った妻の乃り子は 学業の道を捨て結婚し、妻としてアシスタントとして彼を支えます。ギュウちゃんとの生活の中で乃り子もやがて自らの表現方法を見つけ、アーティストとしての活動をスタートさせます。
60年代のニューヨーク・アートシーンのど真ん中で芸術の世界に身をおいて生きるふたりは、やがて異国の地でカオスに満ちた40年の歴史を綴ることになるのです。

アーティスト夫妻に4年間、密着

監督は本作が初の監督作品となるザッカリー・ハインザーリング。大手ケーブル局HBO等でキャリアを積み、長編映画監督デビューを飾りました。。2008年頃、知人の紹介でふたりと知り合った監督は、このユニークなカップルの日常を撮影したショートフィルムを製作します。もともと在学中に美術史について学ぶなど、アートについては興味があったものの、ふたりの作品についてはまったく知らなかったと語るザッカリー監督。
ただ撮影を続けていくうちにその個性豊かな人柄にどんどん惹かれていき、4年の歳月をかけて密着することになりました。
出来上がった作品はサンダンス映画祭で監督賞を受賞。その後もトライベッカ映画祭で観客賞第2位に選出、サンフランシスコ国際映画祭、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭、ミュンヘン国際映画祭などさまざまな映画祭から招待され、激賞されます。
辛口で知られる批評サイト、ロッケン・トマトの「TOMATOMETER」ではなんと95%の評価を獲得、その人気の高さがうかがえます。

現代美術家、篠原有司男さんとは?

父親は詩人、母親は日本画家という芸術一家に生まれたアーティスト。1960年、読売アンデパンダン展で活躍していた吉村益信、赤瀬川原平、荒川修作らとともに結成された伝説的芸術グループ「ネオダダイズム・オルガナイザーズ」の中心人物、それが篠原有司男さんです。
「イミテーション・アート」や「花魁シリーズ」などをつぎつぎと発表。前衛的パフォーマンス、ジャンク・アートで注目を集め、のちに絵具を含ませたボクシング・グローブをはめて壁に貼った紙をボカスカと叩く「ボクシング・ペインティング」で一躍有名人となります。

ふたりの「worn in love」なラブストーリー

有司男さんがアメリカに渡ったのは1969年。ロックフェラー三世基金の奨学金を得たことがきっかけで妻子とともに渡米、ニューヨークでの生活をスタートさせます。
妻の乃り子さんが有司男さんと出会ったのは1973年。アート・スチューデンツ・リーグに美術留学するために渡米した翌年でした。渡米当時は19歳、わずか半年後には有司男さんと出会い、恋に落ちます。
前妻とまだ婚姻関係にあった有司男さんですが、乃り子さんとの間に子どもが生まれ、一緒に暮らし始めます。ところが有司男さんは当時アル中、親からの仕送りも途絶えてしまい、極貧生活を余儀なくされることになります。
一組の夫婦でありながら、切っても切れないパートナー。いわば戦友のような関係がかいま見える、有司男さんと乃り子さんの関係。
そこに描かれているのは、ふたりの芸術家の「愛と闘いのドキュメンタリー」であり、まさに究極のラブストーリーなのです。

作品情報

映画「キューティ&ボクサー」
Amazonプライム・ビデオで視聴可
時間:1時間22分
出演:篠原有司男, 篠原乃り子
言語:英語、日本語 字幕:日本語
販売元 : キングレコード
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