若干25歳にして名だたる映画祭の賞を受賞し、世界的に高く評価されている新鋭監督グザヴィエ・ドラン。人間の愛と狂気を題材にした、自身初のサイコサスペンスがいよいよ公開。
©2013 – 8290849 Canada INC. (une filiale de MIFILIFIMS Inc.) MK2 FILMS / ARTE France Cinéma
©Clara Palardy
じわじわと迫り来る恐怖から、目が離せない
同性愛者である主人公〝トム〟は、交通事故で亡くした恋人〝ギョーム〟の故郷で彼の家族と出会い、そこで最愛の人が隠してきた秘密を知ることになる。弟との関係を隠せと、恋人の兄から不条理な暴力を受けてもなお、亡き恋人を想うトムが辿り着く結末とは…。危うい愛情と閉鎖的な環境での生活が少しずつ主人公と周りの人々を狂わせていく姿が、ケベックの雄大な田園地帯を舞台にゆっくりと静かに描かれていく。前作『わたしはロランス』では、トランスセクシャルの男性とその恋人の、複雑な関係を見事に描き、日本でも一躍脚光を浴びたグザヴィエ・ドラン監督。本作では、監督自身が主演もこなしており、監督と俳優の両面から、この歪な人間関係をどう表現しているのか注目してほしい。
本誌でも以前紹介した前作、『わたしはロランス』とはうって変わった、サイコサスペンス。独特の映像美やファッション・センスのほか、監督本人が主演をつとめるという天才ぶりを発揮している点も、見どころのひとつだ。
【関連情報】
トム・アット・ザ・ファーム
2014年10月25日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次公開
監督・脚本・編集・衣装:グザヴィエ・ドラン
http://www.uplink.co.jp/tom/